合同トレーニングキャンプ主催者(井上亮馬氏)の想い
プロ選手を対象とした合同トレーニングキャンプ
TTC 2014 Supported by UPSET
オフシーズンのプロ選手を対象として開催される合同トレーニングキャンプ。
イベンの協力機関でもある玉川大学をもじり「TTC 2014 Supported by UPSET」
(Tamagawa Training Camp 2014)として6/21・22日に玉川大学にて実施される。
参加選手には、下記選手が揃った。
一色翔太(NBL千葉JETS)
福田幹也(13-14 富山グラウジーズ)
及川啓史(12-13 D-RISE)
武井修志(海外リーグなど多数)
松岡錬(12-13 高松ファイブアローズ練習生)
他、bjリーグ所属選手 多数。
事前掲載可能選手のみ掲載。
参加スタッフ
元安陽一 スキル指導(13-14 東京サンレーヴスAC)
大城英稔 ストレングスコーチ
島袋彩乃 柔道整復師
五十嵐清 鍼灸あマ指師
加藤宏治 柔道整復師
知念穣 ストレングスコーチ
協賛
玉川大学バスケットボール部
株式会社UPSET (PR、プロジェクト準備、ウェア提供)
まなぶ鍼灸整骨院(院長:樋口睦)
(バスケットボール選手に特化した治療プログラムのご紹介
と実際の体験など)
今回、ありそうでなかった、このような合同トレーニングの主催者である
井上亮馬氏に、キャンプの開催意図や、これまでのバスケットボールとの
関わりを伺った。
■合同トレーニングキャンプ開催へ
本プロジェクトはストレングストレーナーとして株式会社PHYSIOFLEXの代表取
締役である井上亮馬氏が主催者として開催されているが、着想は2011年の大震災
に端を発する。
「先の震災が影響しています。bjリーグにおいて震災で活動休止に追い込まれて
しまったチームがありました。
たまたまチーム関係者の方と震災直後のチーム活動についてお話をお聞きする機会
があり、選手の皆さんが試合はもちろんチーム練習することすら出来ていない、とい
う状況でした。
そこで何かお手伝い出来ることはないかと考えた結果、私が出来る事は『選手のト
レーニングを指導すること』でした。
チーム活動がいつ再開するかも分からない状況で、いつ再開してもすぐプレイできる
カラダを維持していることが大切だと感じたからです。」
当初、ボランティアでの指導やサポートを進めるうちに、自分自身にも学ぶ事が多い
と感じ、2013年に実施した合同トレーニングキャンプでも選手の参加費は無料で済む
ように舞台を整える。会場となる玉川大学と連携し、トレーニング施設やコンディショニ
ング用のコートの使用を支援して頂けるようになる。
同時に、同大学バスケットボール部(関東学生連盟3部リーグ所属)の選手とプロ選手が
同じコートで練習、ピックアップゲームでプロ選手のレベルを体感する機会を創出し、新
しい世代へプロ選手のフィジカルやスキルを体感できるように仕掛けがある。今回のキャン
プでは参加選手の顔写真付きのプロフィールをまとめた冊子も大学事務局にて制作。一つ
一つの出会いが、より今後にとって有益で濃くなるように工夫がされている。
それに伴い、「TTC 2014 Supported by UPSET」と名称も変更。支援を依頼するだけではな
い、プロバスケットボール選手が持つ「無形」の社会的な価値をフルに活用しようとマネジ
メントでも精力的に井上氏が動き、現在の形に至っている。
「前回のキャンプで、選手が得られるメリットもありますが、私達も多くのことが得
られたと思います。私達にとっても得られるものがあり、どちらにもWin-Winな事なの
で参加費は頂かない事となりました」
(福田幹也選手と大学生のピックアップゲームより)
■ストレングスの重要性
そもそも、井上氏にはプロのトレーナーとして働く中で、スポーツに励む選手の認識とで
様々なギャップを抱えていたようだ。一般的に、ストレングスとコンディショニングという
概念があまり浸透していない。特に、バスケットボール界においてはそれが顕著だと感じて
いる。
トレーナーといえばテーピングを巻き、アイシングバッグを作り、怪我をしてからの応急処
置やその後のリハビリをするメディカルの要素でイメージされることが多いが、実際にはそ
れだけはない。「ケガを未然に防ぐ」、「走る・跳ぶ・投げる・打つなどのパフォーマンス
を向上させる」、「フィジカルコンタクトに強いカラダを作る」という目的でストレングス
は実施されているが、多くの選手が、これまでに「なんとなく」やっていたトレーニングを
そのまま継続しているケースが多い。自身の知識を伝える事で、選手や、バスケットボール
の指導者に対してストレングストレーニングの正しい方法を広める事もトレーニングの目的
としている。
「オフシーズンの過ごし方としては、シーズンで溜まった疲労を回復させ、ほぼ同時進行で次
のシーズンへの準備に充てなければなりません。このキャンプでお伝えしたことを選手の皆さん
がしっかりマスターして、来シーズンのさらなる活躍のために活かして頂きたいです。」
と、プロ選手のさらなる活躍を願っている。
■プロを目指す選手へ
今回、bjリーグ、NBL、NBDL、及び、海外プロリーグなどに所属実績のある、またはそれに
準ずるレベルにある選手を募集対象としたが、これからプロを目指す選手に対しても
パフォーマンスアップに繋がるようなプロジェクトを考えているという。
多忙な仕事やマネジメント業務の為、自身もバスケットに取り組む時間は月に数度となってし
まっているが、そのような中で多くのバスケットボール競技者、及び、プロ選手を目指す競技
者と交流を持ってきた。また、沖縄出身という事も有り、琉球ゴールデンキングスのブースターで
もありbjリーグへの関心も高い。bjリーグの合同トライアウトを見学する中で、「もったいない」
と感じる選手に数多く出会ってきた。基本的な体力要素、フィジカル面がもう少し整備されていない
事がパフォーマンスを制限してしまっている選手も多い。
「日本のバスケットボール人口は多いです。小学校から大学までほぼ男女ともチームがあり、クラ
ブチームや実業団チームもあります。どの競技もプレイしている以上、プロを目指すのは自然なこ
とだと思います。トライアウトを受ける前にしっかりと「土台」を築いていないといけません。土
台が出来ていない選手には残念ながら長いシーズンを乗り越えることは難しいと思います。」
その為、「アマチュアのカラダからプロ向きのカラダに」というコンセプトで、今後、単発ではな
く、たとえば、合同トライアウトの半年前、1年前というスパンで目標に向かって取り組めるような
合同キャンプの開催も具体的なプランとして考え、準備を進めている。
■バスケットボールへの恩返し
オフシーズンの選手に対する合同トレーニングキャンプには「バスケットボールへの恩返し」という
井上氏の理念が込められている。情熱を持ち、バスケットボールの普及や環境整備に取り組んでいる
他の多くの方々と同じように、井上氏もバスケットボールと共に人生の時間を重ねてきた。
「私自身、バスケットボールをすることにより仲間ができ、彼らと一緒に泣いたり笑ったり、ときには
ケンカしたりと正直な感情を表現することができます。そしてバスケットボールは仕事にも繋がり、私
の人生において多くの時間を過ごしてきたものです。
バスケットボールを通して、人生そのものを楽しんでいます。
そのバスケットボールを楽しんでいる多くの方々に喜んでもらえる「何か」を作り上げていくことが僕
の楽しみにもなりました。今はそれがトレーニングキャンプという形ですが、今後はバスケットボール関
連のイベントなども考えていきます。
近い将来、まだ秘密ですが、バスケットボールが好きな方々のテンションが
上がるようなことを計画中です。」
■沖縄ならではのバスケットキャリア
そんな井上氏であるが、バスケットボールの競技環境は少し珍しい。中学時代に友人に誘われて
バスケットボール部に入部する、、という所まではよく聞く話であるが、「部活動の楽しさ」が
分からずに数か月で退部。だが、バスケットボールそのものは楽しく、日曜日、誰もいない学校の
運動場でバスケットボールを続ける。
高校に進学しバスケット部に入部するも、部活動と言う活動に楽しさが見いだせずに退部。沖縄という
土地柄も影響してか、公園のフープを利用してバスケットボールを継続する。卒業後に進学をした
短大での出会いによってバスケットボールとの関係が深くなる。語学教育に力を入れている大学と言う
事もあり、バスケットボールチームにも外国人選手が在籍。その繋がりで米軍基地内のリーグにも参戦
し新しい文化を知る。
曰く「アメリカンバスケ」にドップリ浸かっていました」。
"Asian-Pacific Heritage Basketball League" という基地内のリーグ戦でも優勝を成し遂げる。この頃
からバスケットボールが趣味ではなく、生き甲斐へと変わっていく。4年制大学に編入後、地元の市町村の
選抜チームなどにも加入。全日本を経験した選手ともチームメイトになり、様々なスキルを学ぶ。米軍主
催の3on3トーナメント『OKI HOOP MANIA 2004』『OKI HOOP MANIA 2005』『 3 ON 3 TOURNAMENT MEN'S DI
VISION』などで優勝も経験。米軍人とマッチアップする機会も多かった事から「フィジカルあっての技術」
という考えを抱くようになり、その後の進路選択にも影響する。
(日本では珍しいバスケットボールマン型の優勝トロフィー。)
■トレーナーへ
大学を卒業した時期になると、今まで以上にバスケにこれからも関わっていきたいとの気持ちが強くなる。
「選手としては絶対上のレベルに上がれないことはわかっていた」と自己分析をし、トレーナーになる
事を決め、トレーナーの資格取得へ勉学に励む。資格取得後、幸運なことに沖縄バスケットボール界では
知らない人はいない、「安里幸男」先生の下で活動をする機会に恵まれ、様々な経験を重ねる。
現在は、株式会社PHYSIOFLEXを興し、代表取締役として職務に就いているが、前職は富裕層などが集う
高級志向のジムでのトレーナーとして奉職。フィットネス志向のダイエットの会員の健康に向き合う日々
を過ごし、医学的な問題を抱えている多くの会員に出会う。医療との関係を密接にしていこうと考えてい
る先に、ある医師との出会いがあり、起業。医療関係、スポーツ関係、そしてアカデミック事業と事業の
幅を拡げ、今回のようなチャリティー企画も、時間と労力は非常に掛かるものであるが、取り組めるよう
になった。
その中、現在、取り組んでいる事業がELITEスクールというバスケットボールと外国語習得のアカデミー事
業である。学校の部活動以外から、NBAや海外リーグへの挑戦を目指せる環境作りを念頭に、現在は事業準備
に奔走している。
アカデミーには年代別(U12、U15・U18)と年代別にクラスに分かれており、若い世代では英語教育を重視し
たカリキュラムとなっている。U-12を対象とするKIDSクラスでは、海外挑戦への最初の障壁となる「英語での
コミュニケーション」の壁を少なくするため、英語を母国語とするコーチによるバスケットボール指導を
行う計画だ。
「スポーツ、とくにバスケは瞬間的な情報交換が必要とされます。監督やチームメイトが何を言っているのか
理解できない、ではおそらく試合にも出してもらえない、出たとしても勝敗を左右するワンプレーの時には
使われないでしょう。
これから世界を狙う若い世代には、バスケ技術・知識以外にも「英語コミュニケーション力」が必要になって
くることは間違いないはずです。」
「3年後にはYOUTHチームから海外に挑戦する選手を輩出したいです。もちろんKIDSチームからも中学や高校の全国
の舞台で大活躍する選手を育てていきたいです。ただ、バスケの枠に収まらず、どの方向に進んでも世界で通用
するような「タフな人間」になってくれると嬉しいです。」
自身の経験、そして、バスケットボールと共に育ってきたという想いから、バスケットボールへの恩返しの
気持ちは人一倍に強い。合同トレーニングキャンプ以外にも、バスケットの世界に新しい選択肢を創出しようと
奮闘される井上亮馬氏に、是非、今後ともご注目下さい。
(沖縄でのクリニックの一コマ)
<参考>
ELITE Basketball Clubの概要
ELITE Basketball Clubは2つのチームから構成される。
「ELITE Basketball Club "KIDS"(Under 12)」
15名限定
指導経験豊富な外国人コーチの元、練習は全て英語で行います。
バスケットボール技術や英語力の習得は大切ですが、それ以上に大切なこと「礼儀」、「スポーツマンシップ」、
「リーダーシップ」、「自主性」、「自律性」、「協調性」などを身に付けることを当クラブの目標とします。
身体面においても若いうちにもっと発達するコーディネーションの7つの能力「リズム能力」、「バランス能力」
、「連結能力」、「定位能力」、「反応能力」、「変換能力」、「識別能力」の早期獲得を目指します。
「ELITE Basketball Club "YOUTH"(Under 15 および Under 18)」
各12名限定
※このチームは英語での練習はございません。
元プロで活躍した選手・コーチの指導のもと、最高レベルの技術・知
識の習得を狙います。遠征(国内・海外)も不定期で行います。
株式会社PHYSIOFLEX
代表取締役 井上亮馬
inoue@physioflex.biz
(本記事について 文責 UPSET 片岡)