大村将基氏によるクリニック簡易レポート
【スキルワークアウト開催】
9/22(祝・火)、東京学芸大学内の体育館にて、TKbjリーグの大阪エヴェッサでと
スキルデペロップメントコーチ契約を締結し、プロ選手の輩出と全日本総合選手権
出場を目指すHOS実業団などのコーチをされている大村将基氏のクリニックを実施し
ました。
告知記事(大村コーチのプロフィールや動画などもあり)
濃密な90分間のワークアウト
事前の案内の通り、前半部分はHOS GAMEに出場する外国人選手(DeShun McCoy、Niko
Brooks、Brandon Mooreら )、トライアウトを合格した日本人選手を中心とした選手
によるワークアウトを大村氏が指導する形でスタート。ウォーミングアップ、シューティン
グ、ドリブルハンドリングドリル、ペイントエリアへのアタックドリル、オフボールでの
ボールの貰い方、on ball screenの様々なシチュエーションドリルが展開されました。
90分間のワークアウトでしたが、次から次へと理論立てて遂行されるワークアウトは非常
に論理的であり、それぞれのドリルが有機的に連鎖し、大村コーチの圧倒的なデモンスト
レーションパフォーマンスと共に効率的に組み立てられた90分間はあっという間に終了しま
した。
(写真提供 HOS実業団)
(写真提供 HOS実業団)
(写真提供 HOS実業団)
悪戦苦闘するも、溌剌としたプレーを見せた東京学芸大学バスケットボール
部の有志選手
続いては、関東大学4部リーグで奮闘中の東京学芸大学の有志選手、及び、プロキャリアを
持つ選手(TKbj福島などでプレーした翁長選手)を対象としたワークアウトとなりました。
強くドリブルを突く事や、ドリブル時の姿勢や視野の確保に始まり、2ballドリル、ゴールへ
アタックする感性を磨きあげるドリル、ペイントエリア内での確実なフィニッシュの習得を
目指すドリルなどが展開。こちらも90分のセッションでしたが、次から次へと提案される目
新しく、目的が具体的に提示されているメニューの数々に、学生選手も意欲高く取り組んで
いました。
時間の経過と共に、大学生選手のアタッキングスキルなども見違えるように躍動感が増し、90
分間のワークアウトの密度の濃さが伺えました。特に、チームではインサイドポジションを
任されている選手が悪戦苦闘しながらも、大きな体を俊敏に動かして豪快なドリブルからゴール
へとアタックする姿は躍動感がありました。
また、プロキャリアを持つ翁長選手の動作を見て、学生選手との動きについての質問を受け、
お互いに選手として向上を目指す中での意見を交し、動きの確認をしあう風景、見学参加の
コーチと選手との質問や、意見交換など、刺激のある風景も産まれました。
今の時代、youtubeなどでNBA選手のワークアウトや、米国スキルコーチの行う数々の練習ドリ
ルは映像で確認する事は出来ますが、選手やチームのニーズや長所、短所に合わせた練習ワーク
アウトの組み立てや、一つ一つの練習ドリルとゲームとの関連性を効果的に紐付ける作業は非常
に難解であると思います。
大村コーチのように、自らも実戦でき、かつ、バスケットボールゲームへの造詣も非常に深い戦
術眼を持ったコーチの、リアルな場での指導の有益性を強く感じれるクリニックとなりました。
クリニック終了後には、東京学芸大学の参加選手と、HOS GAMEに出場する外国人選手らでバス
ケットボールを通じたコミュニケーションや会話も交され、互いに選手として奮闘する中で、互
いのビジョンやバスケットボールに対する想いを語り合い、交流をしていた姿が印象的でした。
また、シーズン制で活動をしている東京学芸大学バスケ部でも、今後の構想として、ポジションに
関わらず、スキル習得を目的としたワークアウトを定期的に実施し、所属選手、または、同大学
リーグに所属する他大学の選手同士が練習し合える機会の必要性も感じ、構想レベルでは話を
進めている模様です。
現在、全国各地域で若手バスケットボールマンによる、個人スキルの向上に重点を置いたアカデ
ミー形式での指導環境も創出されていますが、身体が動く、比較的に若いコーチの方は、是非、
指導だけではなく、自らのデモンストレーションスキルも向上する事で、何よりも自身の動作が
選手への適格な説明となり、よりよいコーチングをする事に繋がるかもしれません。
事実、圧倒的なボールハンドリングや、身体のキレを誇る大村コーチのデモンストレーションに
対して、選手も、見学者も、歓声に近い声が挙がる事もあり、参加選手の目の色も変わっていた
のも、本クリニックのハイライトでした。
参加者の皆様、大村コーチ、参加選手の皆様、ありがとうございました!
(参考)
DeShun McCoy、Niko Brooks、Brandon Mooreらの選手詳細はこちら
<協力団体紹介>
東京学芸大学男子バスケットボール部(愛称 LIONS)
関東学生バスケットボール連盟所属
<2014年度戦績>
4部リーグ上位リーグ進出 5位
<2015年シーズン目標>
・関東学生トーナメント大会でシード権の獲得
・同大学連盟リーグ戦 4部優勝
東京学芸大学バスケットボール部
公式アカウント @tgu_basketball
過去の連動イベント
考えるバスケットの会 中川直之氏によるクリニック
合同ワークアウト開催の経緯
東京学芸大学男子バスケットボールは関東大学バスケットボール連盟に所属して
活動をするチームである。火、水、金曜の放課後18時から、土日の午前か午後の
計週5回の練習をベースとする。
3月の全国教育系11大学によるバスケットボール競技大会、4月には東京都国公立大
会、5月には関東大学トーナメント、9月から11月まである関東大学リーグがあり、
11月のリーグ終了までをシーズンとして活動をしている。
今シーズン、残念ながら4部リーグで24チーム中23位となってしまい、自動降格と
いう憂き目に遭うが、代々継承されてきた着実、かつ、選手の自主性を最大限に生
かした活動スタイルは変わる事はない。
2012年の関東大学4部リーグでは見事に優勝し、3部リーグでも何年か戦った実績も
誇る。教育系の大学と言う事もあり、全国各地で指導者として活躍をするOBを数多
く持つ事が特徴であり、現能代工業高校監督の栄田直宏先生も学芸大学の出身である。
今回、学生コーチを務める後藤さんとの連動で本企画が実現した。
学生主体のチームの中で、学生コーチによって戦術や練習メニューは考案されるので
あるが、基本的には全てのチーム方針を話し合いながら、一つ一つ、選手もチームの
やり方や在り方に関与する中で活動は進められていく。これは、何十年も前から継承
されている伝統的な方法であるようだ。
そのような背景を持つ中で、学生コーチである藤澤氏は「学生チームならではの”強み”」
を作りたいと考えている。その一つは、受動的ではなく能動的にバスケットボールに関
わる姿勢が根付いているからこそ、様々なバスケットボールスタイルを吸収することが
できる点にあると同氏は考える。
ある程度、固定された戦術、及び、長期間の練習によってスタイルが構築、熟成される
高校生とは違い、練習時間や、それぞれの競技キャリアも異なる中で、お互いに尊重し
あい、全員の力を発揮する場を作ることでチームの”強み”となる。
また、バスケットボールのスタイル、ルールの変遷に伴う戦術の変化に対しても受け身
でいてはいけない。
主体的に競技に関わる選手が集うチームであるからこそ、現代のバスケットボールの傾向
や新しい技術などを、積極的に受け入れ自分たちのスタイルに柔軟に落とし込んでいける
こともチームの”強み”になると後藤氏は考えている。
同時に、多くの選手が大学卒業後は指導者となって全国各地に飛び立っていく中で、様々な
スタイルやトレンドをプレゼンしていき、取り入れていく環境を作っていくことでチームと
しても個人としても成長させる事こそが学生コーチとしてチームを牽引する自身の使命でも
あると考え、これまでも様々な勉強や研究、機会作りに取り組んできた。
「今回のクリニックはそういった活動の一環であり、大村さんのような経験豊かで豊富な専
門知識を持った方に来ていただくことで選手たちが従来のチーム練習だけでなく、スキル
ワークアウトを中心とした個人練習の重要性や効果を体験してもらおうと考え開催させてい
ただきました。
今回参加した選手たちは全員が下級生であり、これからの学芸を背負っていく選手たちです。
クリニック終了後それぞれに感想を聞いたところ、改めてファンダメンタルスキルのワークア
ウトが一見地味でもとても重要で楽しいものだということに気付いてくれたようです。それだ
けでも、今回の開催した意義があったと私は思います。」
今後、このようにオフシーズンにコーチを付けてのスキルワークアウトなどの活動にも意欲を
燃やし、構想を練る。将来の指導者候補生が多く集まり、切磋琢磨している大学4部リーグな
どでも、このような機会は少ないのが現状のようだ。
欧米で行われているよう、オフシーズンの間はチームに関係なく様々な大学の選手が一緒に
ワークアウトする機会や環境を作っていきたいと考え、指導者として転身する数年後の選手
の未来にも想いを馳せる。日夜、競技の勉強と研究、学業をしっかりとこなしつつ、選手が自
ら学べる環境作りのための準備に取り組んでいる。
(参加プロ選手)
翁長明弘選手
(写真提供 翁長明弘選手 公式ブログ)